好きな人の曲の分析を出来る限りしてみようというシリーズ。今回はゲームBGMから西木康智「神官オフィーリアのテーマ」です。
前の記事はスピッツの「夢追い虫」でした。よければこちらからどうぞ。↓
前の記事でも書いたように去年はゲームBGMばっかり聴いていたのです。。^^; 元々子供の時から大好きだったんですが、改めて良さを噛み締めております。
色んな聴き方が有ると思うんですが、でも普通はゲームしながら聞くのが普通ですよねw 自分は結構ゲームをやらないでサウンドトラックだけを買ったりしてまして、単体で聴きながらイメージを膨らませながらその世界に浸るって感じです。
(タイトルと曲でどんなものを描いているのかなぁとか頭の中で想像しながら聴くのが好きなのです…)
この「OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー)」(2018年発売)は個人的にずっと気になっていたゲームでして、ロマンシング・サガを彷彿とさせる複数主人公、ビジュアル。当時ゲーム好きだった人には刺さるUI・ゲームデザインだと思っています。^^;
ここ最近のゲームとは違い、ファミコン時代を彷彿とさせるメロディが立ったBGM。主人公ごとに色がある(勿論それだけではありませんが…)西木さんの曲にどんどん惹かれていきました。控えめに言ってめっちゃ好みです。。←
その中でも特にメロディが気に入ったのがこの曲でした。美しく、優しい。それでいてメロディに芯が通っているようで。
この主人公の性格が曲からも感じられます。自分は自分の曲を作る時にいつも課題になるのがメロディメイクなのですが、コード進行含めこの曲は本当にじっくりと分析したくなった曲でした。
最初に拝見した作者のブログです。こういうのが当たり前にタダで見られるのも貴重ですよね。本当に有り難いです。
ところで自分は耳コピがめっちゃ苦手でして…。>_<; レッスンの先生と他にもご協力をお願いしてしまった方がいます。m(_ _)m それが無ければこの曲の事をここまで深くは理解できなかったかなと思っています。心から感謝です。
という事でまずはコード進行です。
[A]
Fadd11 | Cadd9/E | Dm7 | F/C | G/B Gm/B♭ | F/A Fm/A♭ | G♭add9 | Fsus4 | F
(Iadd11→Vadd9/VII→VIm7→I/V→II/#IV→IIm/IV→I/III→Im/III♭→II♭add9→Isus4→I)
[B]
E♭ F | Gm7 | E♭ D7 | Gm Fm7 B♭7 | E♭ F | F#dim Gm | A♭M7 | Fsus4 F
(IV→V→VIm7→IV→III7→VIm→Vm7→I7→IV→V→V#dim→VIm→VII♭M7→Vsus4→V)
[B']
E♭ F | Gm7 | E♭ D7 | Gm F | E♭M7 | D♭ | Csus4 | C
(IV→V→VIm7→IV→III7→VIm→V→IVM7→III♭→IIsus4→II)
以下分析メモです。
・[A]はFメジャースケール(Bに♭のキー)。
・[B]、[B']はB♭メジャースケール(BとEに♭のキー。あるいはGマイナースケール)。[A]から転調。
・Fm/A♭はFのモーダルインターチェンジ(同主調)。
(個人的には単なる半音下りの進行という感じも?)
・G♭M7はC7の裏コード。
→これは裏コードではなくナポリの和音(!)。
・D7 | Gmはセカンダリードミナント。
・Fm7 B♭7 | E♭はトゥーファイブワン。
・F#dimはパッシングディミニッシュ。
・[B]におけるA♭で強い解放感を感じるがGマイナースケールにおける2度メジャーなのか、B♭メジャースケールにおける7度メジャーと作者はどっちで解釈してるのか、良く分からない。
→7度♭メジャーと分析。この短い曲の中で半音進行が下りでも上りでも本当に巧みに使われていますね。
・ほぼハープでしかコードの音を使っていない[A]においてテンションの響きを多用しているのは作曲時点でこのコードを想定した上でメロディを起こしているのか、どうなのか(メロディ先行なのか、コード先行なのか、あるいは同時なのか)。
→恐らく同時で、あるいは一部メロ先行でコードを調整してやっているのではと思います。
・E♭M7 | D♭(III♭→II)は副ナポリと言ったりもする。
・[B']の終わりC→[A]Fでドミナントモーションになっており自然に戻れている。
個人的には結構濃密です。。^^; ワンサイクルが1分半位の中でこれだけコード進行に工夫がなされているというのは凄いなと思います。
頭がFadd11から始まっているというのも作者さんが言われて初めて気が付いたという位に自然な音の配置がされていて(メロディは3度のA)、[A]は伴奏も抑えめで強いコード進行感はないんですが、きちっとこの辺りが練られているからこそのメロディだなというのを改めて感じました。
この曲を分析するにあたり、SoundQuestさんのカーネルとシェルという言葉を初めて意識することになりました。
ざっくりというとメロディの音がスケールのルート音から何度かがカーネル、コードのルート音から何度かをシェルという表現をしています。
コード進行の中でメロディが何度かという事はこれまでうっすらと意識する事は有ったのですが、この曲の中でメロディの目立つ音が非常に巧みに配置されているという事に感心せざるを得ないです。
自分がグッとくるポイントだったG♭add9でメロディで言うとCが目立つ音になっています。シェルでいうと増4度だが、カーネルでいうと5度なので違和感はなくそれでいて心を揺さぶられる響きです。
[B]付近で拍頭のE♭の目立つメロディがFになっていて、シェルで言うと必ず2度(9thとも言えます)になっているのも意図的に配置しなければ絶対にこうはならないという工夫ですね。^^;
サウンド面ではオーケストラの響きが美しく、内声の音もちゃんと取れれば更に勉強になるなと思いますがまだまだそこまでは手が届きません。。
しかし、自分にとって大きな学びになった1曲でした。もう少しちゃんと耳コピしてみたいし、オーケストラの音作り更に学んでいきたいと思っています。
ではでは。
次はZABADAKの初期曲をやる予定です。^^