好きな曲の分析。その3。ZABADAK「明日からの風」

 好きな人の曲の分析を出来る限りしてみようというシリーズ。今回はZABADAK「明日からの風」です。
 前の記事は西木康智「神官オフィーリアのテーマ」でした。よければこちらからどうぞ。↓
 

tetsu8823.hatenablog.com

 

 自分が音楽を始める上で(というか方向性に)大きな影響を受けたZABADAK。彼等の事を久しぶりに書く機会を作れて嬉しいです。^^

 子供の頃からピアノを習ってて大して弾けはしなかった(今も)けど、ギター、ベースも独学で弾くようになり、全部自分の演奏で録音して曲を作れるようになりたい、歌もインスト曲も同じ様に作れるようになりたいって思ったのはZABADAK吉良知彦さんの影響でした。

 ピアノソロやバンドや全部打ち込みといった音楽は知っていても1人多重録音という形でこれだけのクオリティで音楽が作れるのかという衝撃が当時有ったと思います。
 でも、それがどれだけ偉大な事かを当時はちゃんと理解出来てはいなかったかもしれません。^^; マルチプレイヤーで歌えて、自己模倣にならず、演奏活動をしながら、素晴らしいメロディや工夫を重ねたアレンジの新しい曲を作り続けていく事がどれだけ凄い事だったか。今考えても代える事が出来ない巨大な才能でした。吉良さんが亡くなられて早数年、未だに小峰さんがZABADAKを演奏してくださるのも嬉しいですし、
曲も折に触れ、聴き返したりしています。

 勿論元々の才能や努力だけでなく、上野洋子さんとの活動期間も、また彼にとっては本来の才能を引き出す学びの時間でもあっただろうなと思います。

 

 今回取り上げる「明日からの風」は「Welcome to ZABADAK」という1987年に出された初期のアルバムの最後の曲なので古い曲です(最も古い方にカテゴライズしても間違いではないかも^^;)。しかし今聴き直しても全く古さを感じさせない曲でもあります。

 

 録音版:
 

明日からの風 - song by ZABADAK | Spotify


 ライブ版:
 

www.youtube.com

 

 

 実は自分は録音盤の方は長らく聴いた事が無くて最近コピーする段になって初めて聴いたという感じです。^^; かなり印象が違くてどちらも良さが有ると思うのですが自分にとってはやはり野音の"noren wake"(1993)の映像を見て受けた印象が鮮烈でした。自分がZABADAKを本格的に聴くようになったのは、この年から10年程は経過していた筈ですが、この場所に実際に居たらどれほど大きな衝撃を受けていたかなぁと思います。まぁ、当時の頭じゃ理解できなかったかもですが…。

 頭から入ってくるマリンバのイントロもこんな風にバンドでマリンバの音が自然に入ってくる楽曲って今でも日本にはほぼ存在してないんじゃないでしょうか。他に細野晴臣星野源SAKEROCK)位しか思いつかない。しかしオリジナル録音版は当時としては珍しかったのかもしれませんが、シンセでマリンバを入れていてかつアタック感を消しているのでマリンバらしさ(生楽器らしさ)を意図的に排除している感じです。

 デビュー当初のZABADAKは無機質な音像にあえて統一されている感じがします。当初としてはクールな感じを狙っていたのかもしれません。吉良さんの録音から生々しい息遣いが聴こえてくるのはやはり"noren wake"以降の録音からじゃないかと感じています(とは言え、それ以前にも隠せていない生々しさは有ると思うのですが。勝手な解釈すみません)。

 

 以下自分のコピーメモです。
参考にワンコーラスだけリンクを置いておきますね。(フルで聴きたいという(不思議な)人がもしいたら連絡ください^^;)

※尚、コピー時に「ZABADAK Music score vol1」という楽譜を参照しています。
 

nana-music.com

 

 一通りリズム隊(ドラム(Logic Pro xのBlooklyn)+ベース(MODO BASS)。イントロのマリンバからパンフルートとバイオリンのメロもそのままベタ打ち。全編通してアコーディオンも伴奏で打ち込んでる。Aメロでベース音にピアノを重ねているのは録音版だけかな? ライブ版では正直分からない。^^;

 歌はガイドライン(コーラス音源)を打ち込んでおく。(Bメロに入ってコーラス混みで3声、サビは2声。当然オリジナルは女性パートですが、出来ないので全部男性パートで)吉良さんの歌で高くて出せないって思った事は少ないけれど、彼は音域が広いので。。下の方を音量出すの大変だったりで、今回もAメロが伴奏に埋もれないように歌うのは結構難しかった。録音盤のMIXはあまり気にせずに少し埋もれる位のバランスにしたけど。。その方がコーラスが入ってくる時と対比が出るかなと思ったので。^^;

 このコピーで楽譜通りでない唯一のパートと言えるのはギター。実際は録音盤はほとんど弾いてない可能性があるし、ライブ盤も弾く場所は限られてる。でも限られてる部分がいい味出してるとも言えるのだが。楽譜には拘らず、全体的に薄い風味を出す感じでコードを弾いてみた。(こういうの空間系って言うんでしたっけ^^;)
 どっちにしてもサビはコード進行の都合で弾けない。。

 

 以下曲分析パート。

 まずコードから(マリンバの部分は省略)。
 [イントロ/A] Am G C FM7 Em7 D E Am G C FM7 Em7 D E Am
 (Im→Ⅶ→Ⅲ→ⅥM7→Ⅴm7→Ⅳ→Ⅴ→Im→Ⅶ→Ⅲ→ⅥM7→Ⅴm7→Ⅳ→Ⅴ→Im)
 [B] G Dm G Dm Em Dm/F Am G Dm G Dm F E E/G#
 (Ⅶ→Ⅳm→Ⅶ→Ⅳm→Ⅴm7→Ⅳm/Ⅵ→Im→Ⅶ→Ⅳm→Ⅵ→Ⅴ→Ⅴ/Ⅶ#)
 [サビ] Am G F Em Dm C Bm E F Em Dm C Bm E Am ×2
 (Im→Ⅶ→Ⅵ→Ⅴm→Ⅳm→Ⅲ→Ⅱm→Ⅴ→Ⅵ→Ⅴm→Ⅳm→Ⅲ→Ⅱm→Ⅴ→Im)

 

・曲全体でAマイナースケール(♭、シャープ無)。
・といいつつ、G(Ⅶ)とかも平気で使ってるので、Cメジャースケールと並行調で部分部分で行き来していると捉えた方が良いかも。^^;(始まり終わりがAmだけで基本Cメジャースケールと見た方が捉えやすいかもしれない)少なくともずっとマイナーという雰囲気のコード進行ではない。
・Bm E Amはトゥーファイブワン。
・全体としてD E Am(Ⅳ→Ⅴ→Im)という終わり方が多用されているが、これはAのメロディックマイナースケールでFとGにシャープが付くのでそれを利用した進行ではないかと思われる(メロディックマイナースケールについてはギターの先生に指摘してもらいました。感謝)。
・Bメロの4、8小節目とサビはウォーキングベース的なというか、1拍毎にコードを変えているので、ギターで弾くには適さない(実際ライブでもほぼ弾いてない)。
 サビは基本下り進行。
・全体としてのサウンドの味付けはアコーディオン。所々出て来るバイオリン(フィドル)とパンフルート民族音楽的な雰囲気を醸し出している(とても好き)。
・録音盤はBメロ以降上野さんのコーラスが強調されており、初期ZABADAKの男女混声の良さが際立つ楽曲。(ライブの吉良さんのメインボーカルっぷりが際立つ感じもとても好き←どっちも好きなんじゃねーか^^;)
・ライブ版だけかもしれないが、間奏でフィドルの裏でエレキギターの高速アルペジオが鳴っている。
・歌詞はどっちかというと雰囲気が強いというか…あまりメッセージ性はない曲なのかなと思っています。少女が見ていた夢の中みたいな。。^^; どちらかというと、メッセージ性が強い曲が出て来るのは吉良さんソロ期になってからという印象が有って、初期は楽曲の世界観を追及されていたのかなという感じがします(※EASY GOINGは除きます)。

 

これでネタが無くなりました。今コピってるのは昔のゲーム曲なので…ここで書かなくても良い感じです。^^; また何か書きたい曲をコピーしたら持ってこようと思います。^^

 

 

遊びで曲を作っています。気が向いたら聴いてくだしゃんせー。m(_ _)m

soundcloud.com

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